根
哲学者の和辻哲郎氏は、美しい松に囲まれて住んでいた。
あるとき
山が崩れているところで
松の樹の根を見る機会があった。
地上にある美しい松とは
ひどく違った姿をしていた。
太いもの、細いものなど無数の根は
戦い、もがき、苦しみ、
精いっぱいの努力を尽くしたように枝分かれし
一斉に大地に抱きついていたという。
和辻氏は語る。
「あの美しい幹も葉も、
五月の風に吹かれて飛ぶ緑の花粉も、
実はこのような苦労の上にのみ可能なのであった」
成長とは
単に上へと伸び上がり
手を横に広げるだけではないのだろう。
しっかりと大地をつかむ根を持つことにあるのだ。
見えない所での格闘と努力こそが、人間をつくっていくのだ。
確かに、その成長は見えにくいかもしれない。
しかし、努力と苦労を糧に鍛え、
“大樹”へと、この一年、ともどもに成長していきたい。
さて、話題は変わって1枚の画像の紹介。
ホッキョクグマの親子。
ほっこりするなあ。