マニアのすゝめ
〇〇マニアや〇〇オタクという言葉がある。
どちらかというといい意味で使われる言葉ではない。
一つのことにのめりこみすぎていてバランスが悪かったり
それ以外のことが疎かになったりするからだろう。
公立高校受験では9教科の学習の記録が調査書に記載されるから
多くのことをバランスよくやらなければいけないということに
拍車をかけているのかもしれない。
今は公立高校の学力検査は国数社理英の5教科だけど
昔はその5教科に音楽・美術・保体・技家の4科を加えた
9教科だったときもあった。
これにはこれの意図もある。
多くのことを最低限のレベルで触れておくと
自分の適性に出会う可能性が高まる。
知らないことはやらないのだから。
あとは高等教育を受けていくための最低限の教養習得もあるだろう。
タイ出身のタリンさんは、子どもの頃、友だちによく
『日本マニア』と言われていたそうだ。
日本の古典文学に魅了され、大学院進学とともに1人で来日。
大学院での専攻は『源氏物語』。
「あさきゆめみし」というマンガがきっかけとなった。
来日して様々な壁があっただろう。
最悪の挫折は修士1年生の頃と振り返っている。
文献研究の授業の期末試験で出題された
和歌の資料にあるくずし字が読めず、
成績が「F」だったことだという。
「ショックで落ち込んで、学校で友だちとすごく泣きました。」
でも、彼女はくじけなかった。
彼女は持ち前の負けん気を武器に、
書道教室でかな書道を習いはじめたのだ。
自分自身でくずし字が書けたら、
絶対に読めるようになると考えたからだ。
次第に書道をしながらくずし字の読み方を身につけ、
書道の四段を取るまでに上達した!
その後もいろいろあるのだが、
彼女はAI(人工知能)によるくずし字認識に取り組み始めた。
そしてとうとうくずし字を認識するためのスマホアプリ「みを(miwo)」を開発したのだ。
スマホやタブレットのカメラでくずし字資料を撮影し、
ボタンを押すだけで、
AIが1枚あたり数秒でくずし字を現代の文字に変換。
精度は江戸時代の版本では約95%におよぶ。
これからも「日本マニア」の彼女は
持ち前の「負けん気」でどんどん挑戦を重ねていくだろう。
どうだろうか。
誰でも好きでやっていることは一生懸命になるし、
それに関して勉強したり工夫したりするので、
自然に上達するものである。
逆に無理して嫌だと思いながらやっても、成長はないということだ。
まさに、「マニア」とは、好きこそものの上手なれなのだ。
興味を持った方は以下のリンクをご覧あれ。