億劫
「面倒くさい」という言葉を授業中に耳にした。
算数の計算問題がたくさんあるからだそうだ。
問題を出す側としては
無駄に多くの問題を出しているわけではなく、
同じように見える問題でも
実はタイプが違うのだ。
そして多くのタイプを解いておかなければ
ミスが起こりやすいのだ。
面倒くさくて気が進まないことを「おっくう」という。
もともとは「億劫」の読みが変化したものだ。
「劫」とは非常に長い時間の単位を指す。
「1劫」を約1600万年とする説もある。
その億倍が「億劫」というのだから、想像を絶する長さだ。
あまりに長く耐えがたいことから、
「面倒くさい」との意味で使われるようになったと考えられる。
先ほどの算数の問題も
その生徒から見ると
途方もなく数多くの問題に見えているかもしれないけれど
実際に数えてみると
数十問くらいに過ぎない。
しかもその1問1問にはそれぞれに意図があるのだ。
学習に限ったことではない。
運動でも芸術でも仕事でも
おっくうがる自分の弱さを打ち破って、
純粋に、
たゆまず実践を続ける中に、
本当に進むべき道があることを忘れまい。