模写
北辰テストが返却された。
ある中3生は国語の作文で大きく減点されていた。
本人も落ち込んでいたのだが、
このまま何もしないで
自然に作文能力が上がっていくなんて
都合のよいことはありえない。
北辰テストや公立高校入試の作文は
良い文章を書くというよりも、
間違いのない文章を書く、つまり減点されないように書くのだ。
いろいろな問題を通して、自分の「型」をつくることも大事だ。
なぜならば、試験は時間との戦いだからだ。
この作文にもやり方がある。
つまり、いい得点を取るための方法が存在するのだ。
試験問題は攻略方法とのいたちごっこでもある。
令和2年度の公立高校入試から
作文の配点が16点から12点に下げられてしまったのは
作問者側もそのような対策が講じられていることを承知してのことであろう。
とはいえ、100点満点の12点分の配点はそれでも大きい。
令和2年度の埼玉県の公立高校入試における
作文の得点状況は以下の通りだ。
正答率(満点) 10.9%
一部正答率 83.5%
誤答 2.4%
無答 3.1%
通過率 61.2%
通過率という言葉は、一般的には正答率と同義であるが、
埼玉県教育委員会は埼玉県の公立高校入試の学力検査を分析するに当たって、
正答率とは別に「通過率」を計算している。
例えば、「平成31年度 埼玉県公立高等学校入学者選抜 学力検査結果について」の国語の部分では、
通過率を「得点計∕(人数×配点)」としている。
これは、ある項目で満点を取った場合(=正答)だけでなく、
部分点を取った場合(=一部正答)も含めて考えている。
単純に10点満点の項目があったとしよう。
そして、この項目を100人が受験し、
そのうち30人が満点の10点をとって正答となり、
別の50人が5点だけとって一部正答となり、
残りの20人が0点で誤答となったとしよう。
このとき、得点の合計は 30 × 10 + 50 × 5 + 20 × 0 = 550になる。
そして、人数×配点は100 × 10 = 1000になるから、
通過率は550∕1000 = 55%となる。
ここでの通過率の計算に当たっては、
正答だった人数と一部正答だった人数を単純に足しあわせるのではなく、
一部正答だった人の重みを減らしているのである。
さておき、話を戻そう。
どうしたら作文が上達するだろうか。
手っ取り早いのは、たくさん書いて、添削してもらうことだ。
ダメ出しをしてもらい、
次は同じ間違いをしないようにする。
その繰り返しでがベストのトレーニング方法だ。
添削してもらう相手がいないときは、
別のやり方になる。
むかしから、プロの作家の文章を、
一字一句、同じように書き写す「模写」という練習方法がある。
北辰テストの模範解答に書かれている作文例を
北辰テストの解答用紙に書き込むことは
作文が苦手な人にとっては
かなり有効なトレーニングだ。
そもそも何を書けばよいのかわからなかったり、
改段落のタイミングや、原稿用紙の使い方など
模範例から学ぶことは多い。
先ほどの生徒に、模範解答例を模写してもらった。
その直後に、作文してもらった。
模範解答例とよく似た作文がすぐに出来上がった。
このトレーニングを繰り返し繰り返し行う中で
自分の「型」が出来上がる。
テストにおいては、どんなことでも、
このように攻略していくことが基本となる。
たいせつなのは何度も何度も何度も何度も続けていくことだ。