植樹
一昨日紹介した植物生態学者の宮脇昭さんは。
生涯で4000万本の木を植樹。
とてつもない数だ。
しかし、同じくらいたくさんの植樹をする運動を始めた人もいる。
ご存じワンガリ・マータイさん。
アフリカ全土の環境保護運動の創始者だ。
マータイさんが生まれたのは1940年。
当時ケニアはイギリスの植民地。
干ばつの被害から国を守るために1977年に自らが植樹を始めた。
1本植えるごとに、少額の報酬を渡すことで、女性の自立も促した。
植樹運動は今でも続き。なんと4500万本を超えているそうだ。
2004年に、植樹などによる持続可能な開発、民主主義と平和への貢献により、
アフリカの女性として史上初のノーベル平和賞を受けた。
翌2005年には初めて日本を訪問し、
この時、日本語の「もったいない」に感銘を受けて、
もったいないという言葉はそこから世界に広まった。
成功したイメージの彼女だが、
自伝を読んでみると、
改めて挫折の連続だったことを知る。
権力に狙われ、何度も投獄。
3人の子を抱え、離婚、失業。
マスコミの誹謗中傷。
選挙でも落選。
同僚の女性らの裏切りも。
しかしマータイさんは、へこたれない。
「『失敗は罪ではない』のだ。
大切なのは、失敗したときにも、
背筋を伸ばして前進し続けるエネルギーと意志をもつことである」
成功し続ける人はいない。
誰だって失敗することはある。
失敗を乗り越えて挑戦していくことが大事だと自伝が教えてくれた。
一度のテストはもちろん、たとえ受験で失敗したとしても
その後にどんな姿勢でどのように取り組んでいくか
そこが大事なのだと思う。
これは失敗ではなく、成功した時もまったく同じだと思う。
安心していても成長はないのだから。
2004年のノーベル賞受賞までの30年間で3千万本を植樹した。
その不屈の源泉を、彼女は、大地に根を張っているからと言う。
ここが大事なポイントだ。
自らを支える大地とは、
小中学生にとって、まずは保護者。
そして友人や教師など自分に関わる様々な人々だろう。
その人たちをないがしろにしていては
人生の大地にしっかりと根差すことは無理だ。
マータイさんはReduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という
環境活動の3Rに加え
Respect(尊敬の念)の気持ちの重要性を訴えていた。
保護者をはじめ、自らを支える大地に
Respect(尊敬の念)を持つことが大切だ。
尊敬する、すなわち感謝する心が、
人生の舞台にしっかりと根を伸ばし、
人生の花を咲かせていくのだから。