ピン
幼児が泣き止まない。
いくらなだめても、らちがあかない。
強情な性格なのかしら?
乳母は、あれこれ推測をめぐらせる。
ほどなく産着に刺さった「ピン」に気づく。
実はそれが原因だった――。
フランスの哲学者アランが記す
日常よく見られるトラブルの一例である。
人と人との関係においても言えよう。
心ないひとことが“ピン(とげ)”となって
互いに疎遠となることも。
塾の場合は退塾してしまうことも。
しかも、言った本人が
そのことに気づいていない。
そんなケースも少なくない。
アランは言う。
人がいらだったり、不機嫌だったりしても、
それに対して理屈をこね上げ、
“あの人の性格はこうだ”などと安易に決めつけてはならない。
まずは「ピンをさがすがいい」と。
2024年は
生徒一人ひとりの
私に関わりのあるすべての人の
ピンを探せるように
注意を払い、怠らず、
そして誠意をもって、
他者とかかわり
語っていきたい。
鈍感、無関心では、だめなのだ。