人間の実相

トルストイは、ブッダの例え話を知り、「これこそまぎれもない人間の真実だ」と絶賛した。

あの大文豪トルストイにそうまで言わせたブッダの例え話とはいかなるものだったのだろうか。

 

 

 

 

『ぼうぼうと草の生い茂った、果てしない広野を、

木枯らしの吹く寂しい秋の夕暮れに、独りトボトボと歩いていく旅人があった。

ふと旅人は、急ぐ薄暗い野道に、点々と散らばっている白い物を拾い上げて驚いた。

なんとそれは、人間の白骨ではないか。

どうしてこんな所に、しかも多くの人間の白骨があるのだろうか。

 

 

そんな旅人に、間もなく前方の闇の中から、

異様なうなり声と足音が聞こえてきた。

闇を透かして見ると、

彼方から飢えに狂った、見るからに獰猛な大虎が、

こちらめがけて、まっしぐらに突進してくるではないか。

 

旅人は、瞬時に白骨の散らばっている意味を知った。

自分と同じく、この広野を通った旅人たちが、

あの虎に食われていったに違いない。

同時に旅人は自分もまた、同じ立場にいることを直感した。

驚き恐れた旅人は無我夢中で、全速力で虎から逃げた。

 

 

しかし、虎に人間は、かなわない。

やがて猛虎の吐く、恐ろしい鼻息を身近に感じて、

もうだめだと思った時である。

 

道は断崖絶壁で行き詰まっていたのだ。

 

 


絶望に暮れた彼は、

幸いにも断崖に生えていた木のもとから

一本の藤蔓が垂れ下がっているのを発見した。

 

 


旅人は、その藤蔓を伝って

ズルズルズルと下りた。

 

 

 

九死に一生を得た旅人が、

ホッとするやいなや、

せっかくの獲物を逃した猛虎は断崖に立ち、

いかにも無念そうに、ほえ続けている。

 

 


「やれやれ、この藤蔓のおかげで助かった。まずは一安心」

と旅人が足下を見た時である。

 

 

 


旅人は思わず口の中で、「あっ」と叫んだ。

底の知れない深海の怒濤が絶えず絶壁を洗っているではないか。

 

 

 

 

 

それだけではなかった。

波間から三匹の大きな竜が、

真っ赤な口を開け、自分が落ちるのを

待ち受けているのを見たからである。

 

 

 


旅人は、あまりの恐ろしさに、

再び藤蔓を握り締め身震いした。

 

 

 

しかし、やがて旅人は空腹を感じて

周囲に食を探して眺め回した。

 

 


その時である。

藤蔓のもとに、白と黒のネズミが現れ、

藤蔓を交互にかじりながら回っているではないか。

やがて確実に白か黒のネズミに、

藤蔓はかみ切られることは必至である。

 

 

 


絶体絶命の旅人の顔は青ざめ、

歯はガタガタと震えて止まらない。

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蔓を激しく揺さぶっても、動こうとしない。

 

 

 

 

そのとき、この木に巣を作っていた蜜蜂が、甘い蜜の滴りを、彼の口に落とした。

 

 

 

 

「ああ、おいしい。もっとなめたい……」

旅人は蜜に酔いしれた。

虎も深海も毒竜も、頭にはなかった。

藤蔓がネズミに噛み切られようとしていることも、すべて忘却のかなた・・・

陶然と、蜂蜜に心を奪われてしまったのである。』

 

 

 

この話を最初に聞いたとき、人間の本質って何千年前から変わっていないんだなって感じた。

 

 

たとえば、受験に向かって頑張ろうと決意する。

 

北辰テストも近づいている。

 

がんばらなくちゃ。

 

でもがんばって勉強する前にちょっとだけ・・・・・

 

 

で、スマホをやって眠くなってきて寝てしまう・・・・・

 

気がついたら何時間も過ぎている・・・・・

 

自己嫌悪のパターン。

 

でも、それは自分だけでない。

 

他人だって、いや人間はみんな弱い。

 

強くありたいと思い、勇気を出して行動する。

 

そうしているうちに強いふりのできる人間になれる。

 

だから今日がんばってみよう。

 

 

 

 

がんばる人はえらい人。

 

がんばり抜いた人は幸せな人。

 

 

 

今日は中3受験生にこの話をしてあげよう。

 

言った以上は、自分も頑張らないといけないし。

 

 

 

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