狂愚となれ
京セラの創業期、稲盛和夫氏と共に働いた同社の元社長伊藤謙介氏の話を聞いて驚いた。
寝食を忘れて働いていた伊藤氏は、東京オリンピックを知らなかったという。
今年行われた東京オリンピックではない。
1964年に開催された方だ。
私の生まれる前のことだから
どれくらい盛り上がったのかは分からないが、
聞いた話では
選手たちの活躍などのニュースで
世間は大いに盛り上がったということだ。
それを知らなかったというくらい自分の仕事に打ち込んでいたということだ。
狂がつくくらいのめりこむ魅力あることが当時の京セラにはあったのだろう。
だからこそ世界的大企業へと成長を遂げることができたと思う。
仕事に限らず、今取り組んでいることに
ここまで深くのめり込むことができるならば
結果は後からついてくるのではないだろうか。
それほどのめり込むことができるならば
オンもオフもなくなる。
常にオンだから。
この時期の受験生にも
このように熱狂的になれる人がいる。
起きている時間はすべて合格のための時間だ。
一日何時間勉強するのかと訊かれたら
起きている時間のほぼすべてという答えが返ってくる。
私の知っているミラクルを起こしたと言われている合格者はこのタイプがほとんどだ。
吉田松陰は、「狂愚まことに愛すべし、才良まことにおそるべし」と言った。
才良という、バランスがよく、頭のいい人間には価値がないとばっさりと言い切っている。
松陰は「狂」という文字を好んでいて、肯定的に使っていて、
狂ったように徹して学びぬきなさいという意味で
狂愚という言葉を用いたのだろう。
私も「狂」という字を肯定的に使いたい。
狂愚となれ、そして飛躍的な成長を遂げよ、受験生たち。