有志竟成
「有志竟成(ゆうしきょうせい)」
訓読してみると、「こころざしあるものはことついになる」だ。
ノーベル賞を受賞した本庶佑氏が色紙に墨書し、
ストックホルムのノーベル博物館に寄贈した言葉としても知られている。
氏は、“志を貫けば難事も実現する”との信念で、
長年の研究生活を送ってきたという。
この言葉は中国の故事に由来する。
約2000年前、後漢の光武帝の治世に、
耿弇(こうえん)という武勇と知略に優れた常勝将軍がいた。
有名なのは強国・斉との戦い。
自軍は約5万。対する斉軍は約20万。
圧倒的な兵力の差に誰もが悲観する中、
耿弇は「斉の地を平げん」と主君に宣言した。
“3日後に攻撃”と敵を油断させ、その日のうちに、
急襲して攻め落とすなど知略を駆使。
自ら最前線に立ち、太ももに矢を受けるも、
刀で矢を切り落として奮戦した。
そして斉軍を撃破。
不可能を可能にした耿弇をたたえ、
主君が語ったのが冒頭の言葉だ。
勝負に臨んでは、一切の妥協を排し、勝利へ驀進する。
“もう大丈夫だ”“この辺でいいだろう”と、
手を緩めるのは、油断であり、思わぬ敗北の因となる。
勝負の鉄則だ。
学習においても同様だ。
特に受験生、どこまでも強気で攻め抜こう。