太陽
私には塾の指導において師と仰ぐ方がいる。
「これはこうだ。そんなふうに理由を説明しないで覚えなさいというのは暴力だ。」
その教えは今でもはっきりと覚えている。
講師室で話をしているときにおっしゃられた言葉だ。
以来、分かりやすく説明をすることに工夫を重ねてきたつもりだ。
ある小学生が質問をしてきた。
「太陽は、大きなお日さまなのに、
なぜ『大』ではなく、『太』の漢字を使うの?」
答えに窮してしまった。
私自身も「太陽」の字を習ったときに、
なぜ「大」でなく「太」なのか理由を教えてもらわなかったし
聞かなかった。
「テストのときに間違わないように注意しなさい!」
の言葉だけがうっすら記憶に残っている。
何の疑問も抱かずに、「こういうものだ」
とすましてきた物事の、
本当の意味を知ろうと学ぶ時間は、実に有意義である。
最近では少しでも疑問に感じたらすぐに調べるようにしている。
気づかないうちに、理由を説明することなく
覚えさせていることはないだろうか
授業準備のときに自問するようにしている。
子どもの純粋な心に、大人は学ぶところが大きい。
ちなみに、先ほどの「太陽」の字について、
大きなものの最上級が「太」を使うそうだ。
太平洋も同じ理由で「太」を使っている。