他人事、自分事
「パックン」の愛称で親しまれている、
お笑い芸人で大学講師のパトリック・ハーラン氏は、
子どもを持つようになって“自分の変化”に気付いた。
それは子どもに関わる周囲の音が、聞こえるようになったこと。
例えば、ベビーカーを押す音や、子どもを乗せて走る自転車の音。
それまでも音はあったはずだが、耳に入ってこなかった。
無意識に「自分には関係ない」と聞き流していた。
「聴覚」だけでなく「視覚」でも同様だ。
例えば、うちの塾の壁には
受験や学習に役立つ情報が掲示されている。
学校にもそのような掲示物があるだろう。
しかし、どんな内容のものが貼られているのか
その内容を読んでいない受験生もいるのだ。
「自分には関係ない」と思えば、見えてこなくなる。
うちの塾の地域では、日曜日から運動部は学総大会が始まった。
引退が決まり、いよいよ本当の意味での受験生になった生徒もいる。
受験を「他人事」ではなく「自分事」としてとらえなければ
ベストの道を歩むことはできない。
目先の受験に対してすら、当事者意識を持てないならば
自分の周囲の「視覚」「聴覚」に対してだって
反応できない人間になってしまうというかもしれない。
目の前に、助けを必要としている人がいても
気づくことができなくなってしまうということだ。
目を背けてはいけない。
現実を素直なココロでまっすぐに見つめよう。
同じことが対話にも言える、と氏は言う。
すなわち「相手の声は聞こえていても、話を聞いていない。
わが事として心から相手と向き合いつつ、さらに
①相手の言葉を「繰り返す」
②相手の話を「要約する」
③相手の気持ちに「共感する」――
工夫によって、自分にも、相手にも聴いてもらった実感があり、話しやすくなります」と。
変化は対話から始まる。
もどかしくて、叱責したくなることもある。
でも、相手のことを真剣に考え抜いて
「自分事」としてとらえていきたい。
真心の励ましから
今年の受験生たちの快進撃を始めたい。
夏がやってきた。