カワタカ
現在生徒面談を実施中だ。
先日の面談でのやりとりはこんな感じだった。
「志望校はどうするの?」という私の問いに
ある生徒がこう答えた。
「今の成績では言うのが恥ずかしいのですが・・・・」
もごもごとしている。
「大丈夫だよ。言ってごらん」と促すと、
「川越高校です」
「えっ?聞こえなかった。もう一度お願い。」
「川越高校です」
「もっと大きな声で言ってごらん」
「・・・ぼくは川越高校に行きたいです」
やっと言えたじゃないか。
まずは口に出すことから始まる。
現在の家庭学習のことをいろいろ聞いて、
現在の状況のダメ出しをした。
そして、川越高校に合格できる勉強方法を提案した。
今から良い方法で、毎日努力を重ねていけるのならば
合格できる可能性は大きいと伝えた。
現状把握のための北辰テストを勧めた。
最後に、第一志望は絶対に譲るなよ!と。
さて、このエリアのトップ校は、男子では浦和高校、次に川越高校がある。
彼の通っている中学校からだと20番以内くらいの成績でなければ
難しいだろう。
浦和・川越の2トップは長く続いている。
旧制中学校からの歴史があるのだ。
県外の人は驚くと思うが、どちらの高校も公立高校の男子校なのだ。
令和2年度の文科省の学校基本調査によると、
全国に高校は4,874校ある。
公立高校は全高校数の約73%の3,537校。
そのうち男子校はどれくらいかわかるだろうか?
答えは・・・・・・・
わずか14校。
全国の公立高校のわずか0.4%程度なのだ。
だから、辻本塾のあるこの地域から
浦和高校、川越高校、松山高校と
公立男子校を3つも選択できるのは
全国的に見ると、非常に珍しいことなのだ。
この3校は全国にある公立男子校14校のうちの3校であるからだ。
ちなみに、10年前の同調査によると、
全国の公立男子校の数は17だった。
つまり、この10年で、20%弱減少しているということだ。
戦後GHQの共学化への指導に従わなかった多くは私立だったが、
埼玉のほかに、群馬、栃木、鹿児島にも別学を貫いた高校が存在している。
今や公立男子校出身者は絶滅危惧種と呼ばれてもおかしくない状況なのだ。
少子化が進行し、
2011年には「私立中全入時代」がすでに到来している。
共学化することで、2倍の生徒をターゲットにできることからも、
私立も共学化は進んでいる。
一方、欧米では男女別学の利点が見直され、
公立の学校であっても、
男女別学を選択できる動きが広まっている。
一般的に男子は18歳までは女子よりも成長できていない。
個人差があるのであくまで平均的に見る場合だ。
女子の方が学習能力が高い。
だから、別学は、女子よりも男子にこそメリットがあるとの見方もできる。
中には男子校だと「カノジョ」ができないと心配している人がいる。
これには2つのデーターがある。
大学入学2年目まででは、
共学出身男子のカノジョいる率は40%であるのに対して、
男子校出身者では9%となっていた。
男子校出身者は大学入学時はシャイなのだろう。
しかし、その後の婚姻率や恋人がいる率の調査では、
共学出身者と男子校出身者での差は見られなかった。
また、東大合格者ランキングトップ10の
大半は男子校であることも注目すべきことだ。
男女別学には賛否両論いろいろな意見があるのだが、
私は個人的には、
選択肢がある分、
この地域は恵まれていると考えている。
自分で行きたければ行けばいいのだ。
先ほどの面談の生徒は、
実は将来やりたいことがあるのだ。
そのために、ある難関国立大学への進学をしたいのだ。
その大学に合格者が毎年出ているからという理由で
川越高校を志望しているのだ。
10人いれば10通りの人生と進学に対する思いがある。
これを読んでいるのが小中学生だとしたら、
自分の人生と進学について今よりも考えてみるといい。
取り組みは早ければ早いほどいい。
特に上位校であればあるほど早い方がいい。
新年度が3月にスタートする。
来年の一人ひとりの進路に向けて
全力前進、もうすぐ出航。
さて、一方、気になるニュース。
性的少数者への配慮などから、
公立高校の入学願書の性別欄をなくす動きが広がっているとのことだ。
これは以前にも紹介したことなのだが。
時代は変わっている。
願書も制服もいろいろ変わってきている。
いずれ、川越高校や浦和高校に「女子」が入学する日も来るのだろうか。