あわてない
昨日の地図アプリの話に続いてもう一つ。
谷川俊太郎氏の詩「あわてなさんな」は、こう始まる。
花をあげようと父親は云う
種子が欲しいんだと息子は呟く
翼をあげるわと母親は云う
空が要るんだと息子は目を伏せる
道を覚えろと父親が云う
地図は要らないと息子がいなす
夢を見ないでと母親が云う
目をさませよと息子がかみつく
不幸にしないでと母親は泣く
どうする気だと父親が叫ぶ
あわてなさんなと息子は笑う
父親の若い頃そっくりの笑顔で
便利な完成品や出来合いのものに囲まれている現代社会。
勉強や仕事にもそういった便利ツールは開発されている。
そして、それらはとても簡単に入手できる。
美しいものが欲しければ、
すぐに手に入れることだってできる。
移動手段だって何種類も選ぶことができる。
でも、
労せずに入手可能な便利なものは
自分を鍛え育ててくれるのだろうかということを考えてほしい。
花をもらうのではなく、種子から自分で育てて花を作りたいとか、
自分の持っている能力を活かす場を見つけたいとか、
人生を自分で切り拓くとか、
先人たちはみんなそうやって生きてきたはずですよね。
この詩は、こどもたちの可能性を信じ、じっくり成長を待つ大切さを示唆している。