雨だれとなれ

虎に翼、ご覧になっている人もいるのではないだろうか。

 

今期の朝ドラも学ぶべきところが多い傑作だ。

 

私は朝ドラは人生の教科書だと言っているのだけれど

 

子どもたちの登校時間と重なるので

 

話が合う生徒はそれほど多くはない。

 

残念ながら今日金曜日が今期の最終回となる。

 

虎に翼は

 

日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ

 

一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー。

 

困難な時代に立ち向かい

 

道なき道を切り開いてきた法曹たちの

 

情熱あふれる姿を描く。

 

先日、尊属殺の違憲判決が最高裁大法廷で出された回だった。

 

主人公の寅子と最高裁長官の桂葉の師である穂高、

 

今回の違憲判決の出された19年前には

 

尊属殺の合憲判決が最高裁で出されていた。

 

合憲判決に反対意見を書いたその穂高が

 

自身の最高裁判事退官パーティーで語った

 

『自分は「雨垂れ」の一雫に過ぎなかった』

 

というセリフが印象に残る。

 

そして

 

勝訴を勝ち取った弁護人である轟だ。

 

同性愛者である轟とそのパートナーである遠藤の会話も秀逸。

 

自分たちが堂々としていられる世の中がやってくるようにがんばりたい。

 

自分たちの時代にそうならなかったとしても後の世に続けるようなことをしていきたい。

 

そんな感じのことを言っていた。

 

なにかを成し遂げることができなくてもいい。

 

そんなことよりも

 

もっと大事なことがある。

 

そう言われている気がする。

 

そう言えば

 

このドラマの主題歌は

 

米津玄師さんの「さよーならまたいつか」というのだけれども

 

これは、100年先への希望と祈りを歌に込めたものだ。

 

そのサビの部分には

 

「100年先も憶えてるかな」

 

「100年先のあなたに会いたい」と

 

遠い未来を見つめるフレーズがある。

 

100年先って言ったら、自分も当然死んでいるし

 

自分のことなんて誰も覚えていないだろう。

 

今の営みが脈々と受け継がれながらたどり着いた先には

 

その世界を当たり前として生きる人たちがいる。

 

自分のことを覚えている人はいなくなるだろうけれども

 

だとしても、自分のあとの世に受け継がれていくものは

 

確実にあると思いたい。

 

そんなふうに完全にドラマのストーリーと合致しているところが

 

とても素敵な演出だ。

 

 

 

 

 

 

そもそも、人は何のために学ぶのかといえば

 

脈々と続く、人の命のリレーの中で

 

自分の生きている間だけしか考えていなければ

 

自分のためとしか言えないはずだ。

 

そう考える人は

 

自分だけが特別だ

 

自分は他人とは違う

 

などと考えがちだ。

 

でも、人の命は

 

先人たちからの生のリレーであり

 

人の学びは

 

先人たちからの叡智のリレーだ。

 

だから、学校や書籍から先人の知恵を学び

 

運よく間に合うならば、今の世の中のために

 

そして間に合わなければ、後に続く世の中に

 

つなげていけるように。

 

要はみんな雨だれってことなのかもしれない。

 

声を上げた人の声は決して消えない。

 

その声が、いつか誰かの力になる日がきっと来る。

 

だから、みんな自分だけの声を上げる役目を果たし続けなければ。

 

そう考えたら

 

肩の力を抜いて

 

自分らしく生きるために

 

限られた人生の中で

 

今やるべきことが

 

今考えるべきことが

 

見えてくる。

 

 

 

 

 

 

今期の人生の教科書はこんなことを教えてくれた。

 

来週から始まる来期の教科書も楽しみにしたい。

 

タイトルは「おむすび」だって。

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