車のキャッチコピーから
けっこう前のことなのだけれども
BMWのディーラーの人が言ったことばが印象深い。
それはこんな内容だった。
「BMWのキャッチコピーは『駆け抜ける喜び』です。
実際に走らせてみるとうちの車の良さが分かります。
一方、メルセデスのキャッチコピーは何だと思いますか。
それは『所有するよろこび』です。
あなたはどちらがいいですか?」
車は移動するための道具なのだから
走らせなければ意味がない。
でも、他人からかっこよくみられたい気持ちも
よく分かる。
当時はそんなことを考えた記憶がある。
車に限らず
よく見られたいことに起因する所有欲は
状況によれば行動のモチベーションにもなるだろう。
でも所有欲が、人を幸せにすることはない。
まず、ない。
あるとしたら一瞬だ。
いままで持っていなかったものを
努力して持ったとき
その瞬間は満たされる。
しかし、勘違いしてはいけない。
それは「獲得」の喜びであって
「所有」とは違うものだ。
所有する喜びと
獲得する喜びを混同してはいけない。
獲得は、ある意味で報酬になる。
しかし、所有はリスクだ。
失うことへの不安、執着心と、
いくつものネガティブ要素を運んでくる。
対処策は、1つだけ。
ためらわず、捨てることだ。
喜びはモノを所有しなくても満たせる。
逆に、うまく手放していければ
本当に欲しいものへと手を伸ばすことができる。
いったん所有欲に縛られると
「あれが欲しい」
「これを手に入れたい」
と所有物のために働くようになり
本当に自分がやりたいことに、集中できなくなる。
今、書いてきたことは
実は
車だけを意識して書いたのではなく
受験も意識して書いたものだ。
努力して合格を勝ち取ったとき
その瞬間はココロが満たされる。
合格を獲得ではなく所有にしてしまうと
執着心が生まれ
先に進めなくなってしまう。
対処策は、1つだけ。
ためらわず、捨てることだ。
この場合の捨てるというのは
次に向かうという意味だ。
そうすれば
次のステージに進むことができる。
さて、冒頭のディーラーの方はこうも言っていた。
「あくまでキャッチコピーですから
実際にBMWのほうがメルセデスよりも走りがいいのかどうかは
別問題です」
車はさておき
人生においては
所有することに満足する人生ではなく
いろいろな場所を駆け抜けていく
そんな人生がいい。
私はそう考えている。