だれかのために
いっしょうけんめい頑張って生きてきて
地位も財産も手に入れたとしよう。
年齢を重ねたとき
あなたならのこりの人生をどう過ごすだろうか。
ある人は世界中を旅したいというだろう。
ある人は悠々自適にやりたいことをやって過ごしたいというだろう。
でもその女性は違った。
4児を育て、夫を支え、夫が事業で大きな財を成したあと
「君のほしいものを言ってごらん」と言われたときに
「学校を作ってほしい」とお願いしたそうだ。
そうして念願かなえたその学校は100年の歴史を数えるまでになった。
十文字高校の話だ。
私はただの美談を紹介したいのではない。
この話の中には
学力向上だけでなく
子育てにおいても大事な要素があると考えている。
学力(学歴)、経済力(所得)だけを求めていると
意外と早い段階で上がってしまうことがある。
そうすると若くして勝ち組だとかそういう価値観が生まれる。
でも、本当にそれでいいのだろうか。
そこをゴールにしてもいいのだろうか。
こういった問いに
正解はないのだけれども
私は学力(学歴)、経済力(所得)のほかに
もうひとつ大事な柱があると思う。
それは「人間力(人間性)」だ。
簡単に言えば「世のため人のためにがんばる力」だ。
それはきれいごとだと言う人もいるだろう。
でも、自分の秘めたるチカラを出すためには
人間力が欠かせない。
一番大事な柱だと私は思っている。
考えてほしい。
偉人と呼ばれる人たちは
みんな人間力を物凄くもっていた人たちではないだろうか。
「勉強しなさい」
「いい学校に入りなさい」
「いい会社に就職しなさい」
「自分の稼ぎで生きていきなさい」
っていうけれども
その先は何ていうのだろうか。
ちっともいうことを聞かないとか
勉強しないとか言っている人は
人間性を磨きなさいって言う方がいいと思う。
世のため人のために何ができるのか考えて実行しなさい
そういわれると
子どもたちは受験で終わるようなことはなく
親のためとか世間体のためとかプライドのためといった
小さなことに満足しなくなるのではないだろうか。
十文字高校の説明会で
創立者の話に感動した勢いで
帰りにつらつらと思ったことを書いているのだけれども
最後に十文字高校の校歌の一節を紹介して結びたい。
「身をきたへ 心きたへて 世の中に
たちてかひある 人と生きなむ」
優しくあれ 強くあれ そして人と人とをつなぐ人になれ。
十文字高校創立者 十文字こと