一日一日、コツコツと
蒔絵師の大場松魚氏は
「漆聖」と呼ばれた松田権六氏に師事した。
そこで学んだことの一つが
「一日一図案」だった。
毎日一つ
図案を描きとめるように言われた。
1カ月で30、
1年で365……
それが1000案にもなれば
良いものが必ずあると。
ある日
大場氏は意気込んで
1日に100案描いてみせた。
そうしたら
「数の問題じゃあないんだ、
こつこつ努力した一案が大切なのだ」と
ひどく叱られたという。
調子の善し悪しによらず
“毎日一案”描いて
何もしない日をつくらない。
この地道さが
後に師と同じ「人間国宝」へと
大場氏を大成させたのだろう。
一日一日が、勉強である。
一日一日が、改革である。
一日一日が、真剣勝負である。
きょうという一日を大切に
日々の努力の積み重ねに徹しゆくところに
前進もあり、勝利もある。