人を動かす
「リレーに出たくない」
運動会の前日、小学生が半べそで訴えた。
理由は、練習で何回走っても同じ子に負けるから、と。
親が「走ってみないと結果は分からない」と諭しても
表情は曇ったまま。
そこに高校で陸上部の姉が現れた。
速く走るコツをアドバイスすると
小学生はニコニコと笑顔に変わった。
スポーツに限らず
初心者にとって
習熟した人の助言はありがたいもの。
先輩が後輩に的を射た指摘ができるのは
自身もかつては初心者として
同じ過程を歩んできたからだろう。
英語が苦手な生徒がいる。
いつもならば指してほしくなさそうな雰囲気だけど
得意になった関係代名詞の問題では
筑駒の難問だって
指してほしそうにしていた。
リレーに出たくない小学生と同じだ。
自信がないからイヤなだけで
自信がついたら
むしろ好きになるくらい。
中国の故事に「教えて然る後に困しむを知る」
(人に教えて自分が未熟なことが分かる)と。
教えることは、自ら学ぶことでもある。
昨日もまたひとつ学んだ。
人を動かすって
難しくて
おもしろいなあ。