アウグスツス
今日は本の紹介。
中学国語の教科書に出ていた「少年の日の思い出」の
ドイツの作家ヘルマン・ヘッセ。
この本はその数々の作品の中で最も美しいと評されています。
この短編集の中に、アウグスツスという話があります。
こんな感じの話です。
夫を亡くし、貧しく暮らす女性が男の子を産みました。
その際、隣に住む老人から
「お子さんにとって
一番よいと思われることを一つ考えてみなさい。
かなえてあげよう」と言われました。
女性は
「皆がこの子を愛さずにはいられないようにして」
と答えました。
願いはかないました。
ただ、悪事を働いても人々に許され、
甘やかされたのです。
その子はわがままで、
傲慢な大人となってしまいます。
享楽な生活を手に入れたものの、
喜びや充実はありませんでした。
失意の底で、
その子自身が老人に叫びました。
「私が人々を愛することのできるようにしてください!」
再び願いはかないました。
だが、
今度は数々の試練が彼を襲います。
それでも信念に生き抜く中で、
本物の人生の価値を見いだしたのです。
執筆当時、
ヘッセは外面的、内面的に苦境の極みにあったといいます。
それゆえ、人生の究極、生の根源、生きる意義を描けたに違いありません。
愛されることを望むよりも、
自らが人を愛することのできる人間になれることの大切さを見事に描き切っています。
人生に答えはありませんが
時代をこえて読み継がれている文豪の名作から
考えてみることは
とてもいいことだと思います。
おススメです。
さて、明日は保護者会。
しっかりと準備をして
来てよかったと思っていただけるような
いい会にしていこうと思います。