ネコを被る

最近読んだ本の紹介。

[浅倉 秋成]の六人の嘘つきな大学生 (角川書店単行本)

この本に関してはいろいろな評価があると思う。

 

ジャンルではミステリーなのだが、

 

正直、読み始めのときには、

 

読むのをやめようかなと何度か思ったくらい

 

本の世界に入り込むことができなかった。

 

タイトルや表紙から何となく安っぽいストーリーを

 

浮かべていたからだと思う。

 

でも、いい意味で予想を裏切ってくれた。

 

私がいいなと思ったところはミステリーの部分ではない。

 

当たり前のことなのだが、

 

人は嘘つきや悪人にもなる。そして善人にもなるうる。

 

100%の善人や、100%の悪人などはまず存在しない。

 

 

 

 

あの人は〇〇な人だ、

 

というのはその人の一面を見ているだけに過ぎない。

 

知り合いであれ、友だちであれ、恋人や夫婦であっても

 

他人はその人のすべてを理解することはできない。

 

その人自身だって自分がこれからどのようになるのかは

 

分からないはずだ。

 

私も、教え子のすべてが分かるなんて思わない。

 

私に見せている顔と家で見せる顔、

 

友達に見せる顔はすべて違うことだってよくあることだから。

 

私に見せる顔は「いい子」であることが多いと思う。

 

塾に通うのは所謂「外面がよい子」が多いのだ。

 

そうじゃない子は、

 

そもそもうちのような塾に通ったりはしない。

 

でも、「ネコをかぶる」というが、

 

かぶっているうちに

 

獰猛なトラやライオンだって

 

そのうちネコのようにおとなしくするのに慣れてしまうだろう。

 

同様に、勉強嫌いな子だって

 

ネコをかぶっているうちに

 

勉強することが苦痛でなくなってくる。

 

それどころか勉強が好きになってしまうこともある。

 

そんな子たちをたくさん知っている。

 

人間はいろいろな顔を持ちうる。

 

当たり前なのだけれども。

 

この人はこういう人だという分析は

 

あくまで一面に過ぎない。

 

教育においても、

 

「勉強嫌い」というレッテルを貼るのではなく

 

最初のネコをかぶせつづけさせることが

 

成績を向上させる究極奥義なのだと思う。

 

人間関係も同じだ。

 

ネコをかぶせつづけさせれば

 

こじれることはない。

 

恋愛や夫婦関係だって

 

そうだろう。

 

だからこそ、

 

相手に「ネコをかぶせ続けさせる能力」

 

こそがとても大切なのであり、

 

とても大変で難しいことなのだ。

 

それができないために

 

「あいつはダメだ」などと切り捨てるのは簡単だ。

 

良い面を導き出そうとするほうが難しいのだから。

 

こんなことを考えながら、この本を最後まで読んでみたら

 

本の内容に集中できていなかったからだろうか、

 

上手く余韻に浸ることができなかった。

 

もう一度読んでみようかな。

https://kadobun.jp/special/asakura-akinari/rokunin/

 

 

 

 

 

 

さて、話題は変わって、市町村の話。

 

子育て評価偏差値の高い自治体ランキングが発表された。

 

うちの塾のある志木市は・・・・・

 

326位だ。埼玉県の中では上位だ。

https://toyokeizai.net/articles/-/597665

 

 

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