逆境の中の希望
今から90年ほど前の話だ。
SNSもメールもない時代。
少女は父さんからの手紙を
全部覚えようとした。
ナチス占領下のオランダ。
ユダヤ人の父娘は
離れ離れで息を潜めて暮らしている。
抵抗組織を通じ
手紙のやりとりが続いた。
父からの手紙は
証拠を残さぬよう
読んだら焼き捨てる約束だった。
だが
灰になったはずの手紙は
奇跡的に保管され
一冊の本になった。
雪が解け出す頃。
うつむいて白い花を咲かせ
春を告げる待雪草に少女は目を奪われる。
感動をそのまま綴ると
父はこう返した。
「きみのいうとおりだ。
とてもひかえめな花です。
じっくり観賞すると
おどろくほど美しい。
おくの深いところに
黄金の心をもっている。
待雪草のそういうところを
人間はお手本にできるね」
冬の大地に咲く花は
神々しいほどに美しい。
寒風を選んで命を燃やす姿に
勇気をもらい
やがて来る春の暖かさを思う。
「黄金の心」とは
どんな時にも希望をつくり出す
しなやかさと強さの異名であろうか。
春の来ない冬はない。
待雪草の花言葉は
「逆境の中の希望」である。
どんな環境にいようとも
希望だけは忘れないように。
辻本塾新年度がはじまります。
さあ、全力前進!