目で考えて、手を打つ
〇〇メソッドとか
脳科学に基づいた〇〇式学習法
などなど、世の中には多様な学び方がある。
どれも素晴らしいのだろう。
ただし、しっかりとやりきれたらの話だ。
誰でも成績の上がる方法が存在しないのは
全員がやり切ることがないからだ。
ある人はやり切って
ある人はやり切らない。
だから同じことをやっていても正反対の結果となる。
子どもたちを教えているとわかる。
常に思った通りとか今まで通りにはいかないことだらけだ。
昨年はこれでうまくやれたということでも
今年の生徒にはうまくいかないことだってよくある。
だから
これでバッチリという教授法は存在しないと私は断言する。
強いて挙げるならば
目の前の生徒たちの
興味とハートをしっかりとつかみ取ること。
これができれば
ふつうの教え方でも成績を上げられる。
教え方の上手なつまらないベテランよりも
教え方はいまひとつだけどおもしろい新人のほうが
生徒たちの成績を伸ばすことができる理由がここにある。
経験や知識が足りない新人だって
生徒たちをその気にさせることができるならば
成績は伸びていく。
つまらないベテランほど
そんな人気の新人の授業にケチをつけたがるけれど
受ける立場からすれば
おもしろい新人のほうが圧倒的にいい先生だ。
しかも受験に必要な知識なんて
大人になってからあまり使うこともないだろうし。
同じようなことは他業種にもある。
インドで家電製品の売り上げを30倍に伸ばしたアジアの企業の話を聞いた。
日本や欧米の家電メーカーが
世界標準の製品をインドに投入するなか
その企業は独自の“インド仕様”を企画した。
インドの人々の心を学ぼう。
そこから始まった研究開発。
徹して生活の場を歩いた。
耳を傾けた。
そのなかで見えてきたこと。
女性の伝統衣装であるシルク製のサリーを
いかに傷つけずに洗うか。
そこで洗濯機に
手洗いと同様に優しく洗える機能をもたせた。
冷蔵庫は
菜食主義者が多いため肉を入れるスペースを小さくし
その分
野菜室を大きくした。
電子レンジには
インド料理のボタンを加え
現地の料理に適した加熱時間・温度を設定している。
“答えは現場にあり”
それは様々な分野で言えることである。
そよ吹く風や体温を感じながら
現地の人々が何を思い
欲しているかを知る。
そのためには“足で考える”ことである。
そして“手を打つ”ことだ。
塾だって全く同じ。
目の前の生徒たちをじっくり観察して
”目で考える”
そして”手を打つ”ことだ。
模擬授業で研鑽していると思っている教師がいるとしたら
大間違いだと思う。
内輪の会議だけで、いい機能を作りましたから
売れる筈ですってやっているダメな家電メーカーのようだから。
模擬授業と同じことなんて絶対にできない。
いや、表面上はできるように見えるだろうが
本質的なものは生徒たちに届いていない。
“頭でっかち”の机上の議論に終始して
最後は人任せでは何の前進もない。
メーカーも塾もそれは同じだ。
自らの眼で見て
真摯に耳を傾け
目の前の生徒たちの成績向上のために
やれるだけのことをやりきる
いつまでもそんな塾を目指していきたい。