あわてなさんな
「あわてなさんな」という谷川俊太郎の詩がある。
とてもいい詩なので紹介したい。
花をあげようと父親は云う
種子が欲しいんだと息子は呟く
翼をあげるわと母親は云う
空が要るんだと息子は目を伏せる
道を覚えろと父親が云う
地図は要らないと息子がいなす
夢を見ないでと母親が云う
目をさませよと息子がかみつく
不幸にしないでと母親は泣く
どうする気だと父親が叫ぶ
あわてなさんなと息子は笑う
父親の若い頃そっくりの笑顔で
大人は子どもたちよりも
人生を長く歩んできている。
そのため、子どもたちに対して
失敗しないで
最短距離で成功をつかめるように
先回りをしてあれこれ手伝いがちだ。
でも
子供は、花(成功)をもらうよりも
種(可能性)をもらったほうが
うれしいのではないだろうか。
種子を手間暇かけて世話をして
自らの手で芽吹かせ
花を咲かせる喜びを知る。
この詩は、子供の可能性を信じ
じっくり成長を待つ大切さを教えてくれてるような気がする。
ときには、ぐっとがまんも必要なのだということを。