楽観主義
日本の有機化学の基礎を築いた真島利行博士をご存じだろうか。
氏は、漆の研究などを通し、日本の有機化学の基礎を築いた。
時は終戦直後の荒廃した社会。
実験どころではない。
悲嘆した弟子は
「先生、これでまた化学ができるようになるのでしょうか」と問うた。
博士は答えた。
「君、こんなことはなんでもないですよ。
僕たちが化学をはじめたころはもっと条件が悪かった。
回復するのに10年もかからないよ」
戦前・戦中の困難を乗り越えた自信があったから、
再び逆境に遭遇しても、
希望を創り出すことができたのだろう。
その博士のもとから、
赤堀四郎、黒田チカ、杉野目晴貞ら
一級の化学者が輩出された。
苦闘で鍛え上げた人の「楽観主義」は、
接する人に、明るさだけでなく、
勇気と希望をもたらすことができる。
今、困難の渦中にある人も、
そうした先人たちの試練に学びたい。
負けてはならない。
苦労は買ってでもしろというが、
本当にその通りだと思う。
今、苦しんでいる受験生たち、
やれるだけやろう、
今を楽しもう、
楽観主義で行こう。