新幹線と学習
東海道新幹線は58年前の10月に開業した。
約半世紀以上、これまで事業者側に責任のある乗客の死亡事故はない。
しかし開業から数年は、あわやの事態の連続だったという。
1967年、運転車両部長の齋藤雅男氏は
ある駅を視察し、助役2人と面会した。
1人に非常時の対応を問うと、
20以上もの項目を全てそらんじた。
もう1人も伝令方法について、
暗記内容をすらすら答えた。
だが齋藤氏は、
暗記の努力を褒めるどころか、
チェックリストを指し、
強く言った。
「これに従ってやれば、ミスはない。
憶えることは絶対に禁止する」。
非常事態は突然起こる。
人間の心も”非常”の状態になる。
マニュアルを記憶していても、
正しく判断できるものではない。
氏は、慢心に陥りがちな人間の性質を指摘したのだ。
学習においても似たようなことが言える。
暗記したつもりでも、
根本的、本質的な部分や考え方を理解しなければ
テストという実践の場で
正解にたどりつくことは難しいのだ。
覚えたつもりになって
いざ本番で痛い目にあった経験は
多くの人が持っているだろう。
ましてや
試験は時間と緊張との戦いだ。
普段の落ち着いた空気感で
やれるわけでもない。
受験勉強では
「体で覚える」とか
「アタマに刻みこむ」という表現が使われることがある。
分かったと思っていても
何度もやる。
職人の壁塗りのように
何度も何度も塗りこんでいく。
分かっているつもりを徹底的に排することが大切だ。
齋藤氏も、新幹線の安全”神話”はないと言う。
日々心構えを新たにするべきということだ。
無事故とは、過信を排し、真剣に対策を重ねた上にある。
一つのことを徹底しようと思うのならば、
周囲はもちろん
自分の想像できうる以上のことを
やり続けて
はじめて
できるのだと思う。
さて、話題は変わって
高校入試における英語リスニングの話。
昨日、東京都議会文教委員会は、
英語スピーキングテストの結果を
来春の都立高校入試に活用しないよう求めた
立憲民主党など提出の条例案を、反対多数で否決した。
このスピーキングテストは、
11月に都内の公立中学3年生約8万人を対象に実施されるもの。
受験生がタブレット端末の問題に解答し、
録音した音声データがフィリピンで採点され、
6段階で評価される。
埼玉と隣接している東京の公立高校入試のことなので
注視していきたい。
興味のある人は
以下のリンク先の
東京都が実施するESAT-Jの昨年の過去問をやってみてはどうだろうか。