新しいカレンダーに思う
真新しいカレンダーを手にする季節になった。
年が改まり
その表紙をめくる時の心の引き締まる思いは
古今東西、だれ人も同じだろう。
日本書紀によれば
日本で初めて暦が用いられたのは
604年のことだという。
1400年以上前のことだ。
中国から入ってきた「元嘉暦」という暦で
以前、奈良県明日香村の遺跡で
この暦を書き写した木簡が見つかった。
中国でも実物は見つかっておらず
発見時には話題になった。
〝国内最古のカレンダー″には
「この日は帰宅が凶だから出張を控えた方がいい」(帰忌)とか
「出血を凶とする(血忌)ので、死刑は行わない」
などの吉凶や禁止事項が書き込まれていた。
今も昔も、暦は生活に密着し
人々の行動や振る舞いに大きな影響を与えている。
若くして病に倒れたルポライターがいた。
死期が迫っていることを知った時
カレンダーを「日めくり」に変えたという。
残された一日一日の生命の重みを
暦をめくる手ざわりに感じながら
悔いなく生きるためだった。
「明日なすべき事あらば、きょうのうちにせよ」
とはアメリカ建国の父・フランクリンの言葉だ。
「きょう」を勝ち
「いま」を勝つなかにこそ、輝く未来が築かれる。