岩破れの松
一粒の松の種が、岩の割れ目に落ちた。
やがて弱々しい芽を出した。
時がたち、芽は岩を真っ二つにする大樹に育った。
「岩割りの松」と言われた
なぜ、松は岩に負けなかったのか。
作家・下村湖人の小学校の恩師が語ってくれたという。
「松が岩に勝つ力は、その幹の堅さではない。
それは、その生長力にあるんだ。
じりじりと自分を生長さして行く命の力、
それが岩を割る力なんだ」
そこで根を張るしかない松の芽は、
何を思っただろう。
忘れたり、ごまかしたりできない、
いまある境遇の辛さや自身の弱さを嘆いただろうか。
確かなのは、
うまずたゆまず生き抜いて、
伸び続けたということだ。
岩を叩き割ろうとする無鉄砲さではなく、
したたかに生きる真面目さ。
それが大木に育つ道だった。
最後に勝利する人とは、
たとえ転んでも、
立ち上がり、
再び前に進む人だ。
『死』を迎えるのは『疲れた人間』ではない。
『歩みを止めた人間』なのだ。
人生に勝利する人とは、
苦労を避けて生きる“器用な人”ではなく、
困難を真正面から受け止めてなお、
心で負けぬ“地道な人”に違いない。
修学旅行から帰ってきて直後、
多くの生徒がオンライン授業を受けることを選択したが、
一人だけ授業に来た生徒がいる。
今年度、ほとんど毎日塾に通ってきている生徒だ。
けっして器用ではないのだけれども、
こんな地道な子が伸びないわけがない。
いい意味でみんなも真似をしてほしいと思う。
さて、話題は変わって映画の話。
本もいいけれども映画も、
子どもたちの人生に大きな影響を与えることがある。
東大の研究者が薦める映画5選はいかが。