変毒為薬
人気力士に会わせてあげる、
と相撲関係者から誘われた男子中学生が、
実際に連れていかれたのは行司の控室だった。
「行司にならないか」との勧誘に、
将来の夢は警察官と決めていた少年は、
きっぱりと断った。
ところが先方は
「この子は、芯がしっかりしている。合格」
と採用を決定。
相撲好きの両親にも押され、
行司の道へ。
後の36代木村庄之助の話である
当の本人は
「こんなことになるとは」と思ったに違いない。
だが、人生は、その連続ともいえる。
ただ同じ「こんなことになるとは」という言葉でも、
悲劇の結末の嘆きか、
試練の壁を破った歓喜かで、
意味は正反対になる。
後者でありたいものだ。
わが身に起こった全てを意味あるものに転じる
「変毒為薬」のキモチで
新年度を始めよう。