便利な道具
「カーナビをつけるようになって
なかなか道を覚えられなくなった」
以前、車に乗せてくれた友人が
しみじみと語った言葉だ。
最近では車載カーナビではなく
スマホを使ってカーナビにしている人も多い。
カーナビをはじめ、科学技術の進歩によって
確かに私たちの生活は便利になった。
2000年代に入り
携帯電話が普及し、とても便利になった。
2010年代、スマホがなかった時代を
想像することもできなくなった。
そして今、AIがやってきた。
「ググる」という言葉が死語になるかもしれない。
普通に音声で会話するだけで
答えてくれる便利なAIが登場したからだ。
半面、それらをあてにすることで
”道順を覚えておく”
“よくかける電話番号を記憶しておく”など
昔の人ができていたことができなくなった
と感じる場面が多くなっているのも確かだ。
以前は、「人は脳の10%しか活用できていない」
と言われていたけれど
最新の脳科学ではそうではなくなっている。
人は脳の100%を使っているというのだ。
なぜ、10%などという話が出てきたのだろうか。
私は、これが脳の活動部位の話ではなく
活動量という意味で言われていたのだと思う。
確かに脳には今よりももっと高い処理能力を発揮できる可能性がある。
その証拠として、ほとんどの人は「慣れ」により
脳の活動量が減っていくといわれている。
脳科学者のヘクト氏によると
何かしらのスキルを習得しているとき
脳は活発に働くが
そのスキルの習熟度が上がると
脳の活動量は減るのだそうだ。
そのため、常に新しいものに触れるように
思考を集中させていれば
脳は普段より高い能力が出せるだろう。
ヘクト氏は、自分の可能性を存分に発揮するためには
「慣れ」に甘んじず
熱心に学び続けることが重要と語っている。
人間は、誰しも計り知れない大きな可能性を持っている。
その可能性をさえぎるものの一つが
自分以外の何かを“頼る心”だ。
先の話は、この真理をよく表している。
綱引きにおいて
綱を引く人数が増えれば増えるほど
一人が出す力が減っていくという実験結果(リンゲルマン効果)がある。
“人に頼る心”がある限り
自分のもっている大きな力を出し切ることはできない。
だからこそ、自らが掲げた目標の達成のために
執念を燃やして挑戦を続けよう。
その挑戦の先に
思ってもみなかった“可能性の花”が大きく開く“春”が待っている。