ココロに届け
合唱コンクールで日本一になった学校の生徒が、
上手に歌う秘訣を聞かれたときのこと。
その生徒は「ありません」と即答した後、
こう続けた。
「ただ、心優しい人の歌は優しい。
意地悪な人は、
どんなにテクニックでごまかしても、
意地悪な歌になります」と。
文章も同じだ。
ペンに託した情熱や使命感が、
時に未熟さや力不足を補うことはある。
だが、その逆は断じてない
音程や強弱が合っているだけの声や、
美辞麗句を連ねた文は、
相手の耳や目には届いても、
心には響かない。
では、心に届けるには、
具体的にどうするか。
例えば、講演の名手は聴衆が多くても、
聴衆の中の一人に語り掛けるつもりで話すという。
腕が立つ雑誌編集者は
〝あなたのための特集です〟と、
読んでほしい対象を絞り込んで企画を考えるという。
相手を不特定多数とせず、
〝大切なあなた〟
に決めるのだ。
今も
大切な塾生
一人ひとりの
授業シーンを思い浮かべながら
授業準備をしている。
このキモチが
届くならば
講師として
最高に嬉しいことだ。