ずうっと、ずっと、大すきだよ
小学1年生の教科書にある作品で、
ハンス=ウイルヘルム作の「ずうっと、ずっと、大すきだよ」
という本がある。
うちにも大分昔に娘に買ってあげたその絵本がある。
家で飼っているエルフという犬の話。
エルフのあったかいお腹を枕にするのが好きだった「ぼく」。
家族はみんなエルフが大好きだった。
でも言わなくてもわかると思っていたから、
誰も「好き」って言ってやらなかった。
犬の寿命は人より短い。
それは仕方のないこと。
「ぼく」が大きくなるよりもすっと早く、
エルフは年をとっていった。
グングン太って、
歩くのがおっくうになり、
寝ている時間が多くなった。
そして、「ぼく」が朝起きると、
エルフは死んでいた。
家族はみんな泣きながらエルフを庭に埋めた。
「ずっと、大好きだよ」と言って。
私の実家で犬を飼っていた。
名前はエル。
近所のスーパーの近くの広場で、
3匹の子犬が段ボールの中で捨てられていた。
たぶん兄弟なのだろう。
1匹が拾われていった。
もう一匹も拾われていった。
残ったのは
一番人になつかなかった茶色の犬。
うちの母が見かねて
連れてきた。
その日からうちで飼うことになった。
うちの家族はそれまでは
そんなに動物好きというわけではなかったと思う。
でも、その日から
みんながエルのことを家族の一員として受け入れた。
最初は噛んだり、脱走したりしたけれども、
だんだん落ち着いていった。
冬は家の中で一緒に過ごした。
それから20年近くいっしょにすごしてきた。
でも、別れの日はやってきた。
みんな別れが悲しかった。
だけど、今でもエルの話題は頻繁に出てくる。
だって、みんなエルのことが
ずうっと、ずっと、大すきだから。