ことば
わずかな段差をこわがる幼児がいる。
さて、どうすれば跳べるか
まず、大人が手をつないで
「ポイ」と声をかけながら踏み切る。
次は手を離し、かけ声をかけるだけ。
しだいに自分で「ポイ」と言って跳べるようになり
最後は黙ったままでもできるように。
声はなくとも
「内なるかけ声」が子どもの胸に響いているはずだ。
発達心理学者の岡本夏木氏は
「外からきたことばを
自分のことばとして取り入れ
それを自分に向けて自分の内で用いてゆく」
成長の重要性を指摘する。
周りの大人の「言葉」をのみ込んで
子どもは自己の内面世界を作りあげていく。
言葉はいわば外と内の世界をつなぐ「懸け橋」といえよう。
しかし翻って見れば
実感のこもった「勇気」「正義」「誠実」の言葉が
今の社会にどれほどあるか。
力ある言葉、豊かな言葉を、子どもたちに手渡せるか。
それは大人たちが自身の人生を
どれだけ強く深く生き切れるかという挑戦にほかならない。
子どもと向き合うことは、未来と向き合うこと。
子どもを大切にしない社会は必ず衰退する。
子どもを最優先する社会へ。
大人たちが行動を起こせば未来も動き出す。