成績を上げる方法

「勉強方法が分かりません」

 

「どうやったらいいのか分からないから勉強できません」

 

「塾でよい勉強方法を教えてください」

 

 

 

このような質問をよく受けることがある。

 

というよりも、入塾理由の上位に入るだろう。

 

私はそのような話を聞く場合、

 

現在の学習状況や成績状況を詳しく聞いて、

 

いくつかのアドバイスをするようにしている。

 

 

 

成績を上昇させることができる生徒もいれば、

 

成果がいま一つあらわれてこない生徒もいる。

 

前者と後者の違いはどこにあるのだろうか。

 

 

 

 

 

私は「情熱」の違いだと思う。

 

成績を上げたいと心の底から思っているのか、

 

そして、その思いは枯れることなく、

 

日々自分の中から湧き上がってきているのか。

 

本気モードを維持できるのかどうか、

 

ここに成績が伸びる秘訣がある。

 

 

 

 

こんな話を聞いたことがある。

 

英和辞書を一日2ページずつ暗記し、

 

覚えるとページを食べるか破り捨てた。

 

ついにカバーだけになった辞書は、校庭の桜の根元に埋めた――

 

勉学への鬼気迫る逸話を残したのは、歴史学者の朝河貫一である。

 

戊辰戦争で賊軍の汚名を着せられた、旧二本松藩士の家に生まれた。

 

経済的に厳しい状況は続いたが、学ぶことへの情熱は消えなかった。

 

氏は後に、こう述べている。

 

「人は境遇に支配せらるゝ如き弱きものにあらず」

 

「古来の至人は、皆悪しき境遇より出でき」

 

後年、アメリカの名門エール大学の教授に就任。

 

比較法制史の分野で大きな成果を残した。

 

境遇や環境を嘆かず、学び続ける中で可能性は開けていくと、

 

博士の人生は教えてくれる。

 

 

 

 

 

浦和一女の校長を務められた方からこのような話を聞いたことが印象的に残る。

 

「ぼくは中高生の頃ある遊びにハマっていてね。

 

その遊びというのが英和辞典を使うものなんだ。

 

適当なページを開いてみる。

 

そして、開いた左右の両ページに書かれている見出し語の中から

 

知っている単語を黒マーカーで塗りつぶす。

 

知らない単語はその場で読んで覚える。

 

これを繰り返す。

 

中学卒業までに辞書一冊全部塗りつぶそうと思っていたけれど

 

塗りつぶすことはできなくて、

 

高校に入学した後もその遊びを続けたんだ。

 

最終的にかなり塗りつぶすことができた。

 

辞書を開いたときに、見開きが塗りつぶされているときの

 

あの何とも言えない気持ちは最高だった。」

 

 

 

英単語を遊び感覚で覚えることができるのならば

 

これ以上の学習法はない。

 

 

 

 

では、この英単語学習法はおススメできるか。

 

私は全員にはおススメできないと思う。

 

まず、中学生の覚えるべき語彙数約1200に対して

 

辞書というのは見だし語が多すぎる。

 

その何十倍もの単語を覚えきろうというのだ。

 

テストに出てこないものを「ムダ」と呼ぶのならば、

 

その学習内容の多くは「ムダ」なのだ。

 

しかし、その元校長先生の学習に対する情熱は

 

並ではなかったのだ。

 

そして足元だけを見ているのではなく、

 

はるか彼方を見ていたのだ。

 

だから、単語力を身につけたいと思った時に、

 

辞書を覚えつくそうと思えるほどの

 

情熱が湧きだしてくるのだ。

 

そして、それを遊びに変えて、

 

6年間も楽しく続けていくことができる、

 

これこそほとばしる情熱のなせる業だろう。

 

さらに、与えられる学習方法ではなく、

 

自ら考え出したことも大きいだろう。

 

それもゴールからの発想で作りあげたのだ。

 

ゴールというのは、

 

もちろん大学受験。

 

だから、小さく始めるのではなく、

 

大きく始めたのだ。

 

ふつうは、あまりの大量さに気持ちが折れてしまうだろう。

 

だから、遊びに変えたのだと思う。

 

そして、繰り返すが、

 

何よりもそれを続ける情熱。

 

 

 

最後にどうしたら情熱的でいられるのかについて。

 

朝河貫一氏や元校長先生のエピソードを読んで

 

感じたと思う。

 

やる気スイッチという言葉をテレビで聴いたことがあるが、

 

そのようなスイッチがあるならば、

 

壊れるまで

 

連打される人もいるだろう。

 

でも、そんな都合のいいスイッチなど存在しない。

 

 

私がたどり着いた答えは、

 

「続けること」

 

とにかく続けること

 

これに尽きる。

 

続けていく中で

 

情熱は成長する。

 

そして可能性は開けていくのだから。

 

 

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