師匠
124年前、27歳の若さで赤痢菌を発見した細菌学者の志賀潔博士。
ドイツに留学し、
世界初の結核治療ワクチンを発表するなど、目覚ましい活躍だった。
博士は後年、
大学の細菌学教室などから講演を依頼され、
各地を回った。
その際、
求められ、
好んで記した言葉がある。
「先人の跡を師とせず、先人の心を師とすべし」
“先人の業績ばかりに目を向けるのではなく、
その心に目を向けよ”。
赤痢菌の発見も、
自身の栄達のためでなく、
病気で苦しむ人を救わんがために研究し続けた成果であった
晩年の博士は、
赤貧を洗う生活だった。
だが死を迎えるまで、
専門書を読み、
学問と格闘した。
自分の学問を通じて、
人類の福祉に貢献する――これが博士の信念だった。
うちの塾に自習に来る卒塾生。
塾生の一人が「先輩」に弟子入りをした。
先輩と同じ学校に入りたいのだ。
弟子は師匠から入学後に教えを受けることができる。
そのためには、まずは入学することだ。
弟子として忘れてはいけないのが、
先人の跡を師とせず、先人の心を師とすべしだ。
師匠と同じ学校に入ることだけを考えてはいけない。
師匠が入るまでどのよう道のりを辿ったのかを考えてみる。
スマホもプロ野球観戦も封印して
弱い自分と闘って作り出した時間。
それを最大限効果的に使って学力をあげきったのだ。
だから、今は昨年よりもはるかに強くなっている。
そこに思いを馳せてもらいたい。
志賀博士の故郷・宮城県の海沿いの丘に記念碑がある。
そこには
「自ら信ずる所篤ければ、成果自ら到る」との言葉が。
人間の強さは、信念の強さで決まる。
強固な決意と行動に、結果は自ずと付いてくる。