川の流れ

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

 

現代語に直してみると、

 

流れる川の流れは絶え間ないが、

 

しかし、その水はもとの水ではない、と言う意味です。

 

「三大随筆」の一つといわれ、

 

清少納言の「枕草子」、兼好法師の「徒然草」と並び称される、

 

鴨長明の方丈記の書き出しです。

 

川辺に立って、川の流れをながめてみると、

 

常に同じように水が流れています。

 

でも、目の前にあるのは常に同じ水ではないのです。

 

さっきまで目の前にあった水はもう流れ去って行ってしまったのです。

 

川は源流から流れ出し中流へそして下流へ流れていき、最後には海に注ぐのです。

 

 

時間も川と同じように、「流れる」と言います。

 

「時の流れに身をまかせ」という歌がありました。いい歌でしたね。

 

さて、2学期が始まって早1ヵ月。

 

昨年の今から一年の時が流れていきました。

 

そして、また9月がやってきました。

 

注意してもらいたいのは、今年の9月は昨年と同じではないということです。

 

私たちはわかりやすくするために、時間に名前をつけます。

 

何年、何月、何日や季節もそうですね。

 

だから、時間がグルリと回って戻ってきたような錯覚をします。

 

昨年と同じ時がやってきたと考えてしまうのです。

 

しかし、今年の9月は昨年の9月とは全く違うのです。

 

時間は戻ってはこないのです。

 

川も時間も流れる方向は常に一方通行であり、

 

流れ去ったら決して元には戻らないのです。

 

時間が繰り返すものだと錯覚していると、

 

「また次のチャンスでやればいいさ」なんて思ってしまいます。

 

空から川を見ている自分を想像してみてください。

 

地上には川が見えます。

 

流れの始まりを見つけてください。

 

山地に源流が見つかるでしょう。

 

そこから流れをたどってください。

 

徐々に川幅が広がっていきますね。

 

下流に近づくにつれて、流れも緩やかになっていきます。

 

潮の香りが漂ってくると、川の流れもいよいよ終わりが近づいてきて、

 

最後には海へと流れ注いでいきます。

 

いま見えたのは人生という時の流れの川です。

 

はじまりも終わりもあり、人生には限りがあります。

 

そして川の流れのように時間は決して戻らない。

 

時間は貴重なものです。

 

だから先人たちが時間に目に見えない刻みをつけたのです。

 

あなたの人生という川のほとりには、等間隔で刻みが見つかるでしょう。

 

4月とか春とか書いてありますね。少し上から見てみると、

 

その刻みが繰り返されていることが分かります。

 

もっと上から見てみると、何十回もいや百回以上繰り返されていることに気づくでしょう。

 

でも、刻みの名前が同じでも、

 

全く別の場所であることが、上から見るとよく分かりますね。

 

何もしなくても時だけが流れていきます。

 

私たちの学習も同じです。何もしなくても時間は過ぎていきます。

 

「何時間勉強すればいいですか?」とよく聞かれます。

 

この質問に対して、正解できる先生は一人もいません。

 

受験の合格者たちの学力差はとても大きいです。

 

開成中高の柳沢前校長は「開成に入学する生徒は「神童」と呼ばれる子も少なくない。

 

だけど、彼らも最初の学内の試験で「上には上がいる」ということを痛感させられます。」と言っています。

 

活動時間を最大限勉強に活用しても勝てないことだってあるのです。

 

何より大事なことは、勉強ができるようになりたいと本気で思うこと。

 

そのうえで、手応えを感じ、結果を出すまでは粘り強く続けていくことです。

 

人生という川のどこら辺に自分がいるのかを知り、

 

その流れのどこまでにどのような結果を出すべきかを考えてください。

 

そんなにのんびりとはできないでしょう。

 

 

 

19世紀を代表するロシアの文豪トルストイはこう言いました。

 

「流れ進むのはわれわれであって、時ではない。」

 

たしかに、自分が動かなければ何も始まりませんね。

 

周囲の仲間は良きライバルです。

 

ライバルの語源はラテン語の「川」にあります。

 

「同じ川を利用する2人」を指しています。

 

競い合い、励まし合い、尊敬し合える仲間がいる。

 

そんな教室でありたいと、私たちも川のように流れ進んでいきます。

 

いっしょに成長をしていきしょう。

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