一流
帝国ホテル元社長の犬丸徹三氏は
東京高等商業学校(現・一橋大学)を卒業後、
ホテルに就職し、
ボーイ、コックなどの仕事に就いた。
当時は職業への偏見が根強く、
先輩からは“君の仕事は光輝ある母校の名を汚すもの”
と詰め寄られたことも。
しかし氏は意に介さず、
コックの腕を磨こうと英国に渡った。
そんな氏に与えられた仕事は窓拭き。
毎日同じことの繰り返しが続く。
思わず初老の同僚に不満を漏らした。
すると同僚は汚れたガラスと拭き終えたガラスを指さす。
そして“きれいになれば限りない満足を覚える。
生涯の仕事に選んだことを少しも悔いていない”と。
その誇り高さに氏は衝撃を受けた。
以後、どんな仕事も誠実に取り組み、
一流のホテルマンとなった。
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【帝国ホテルにて
マリリン・モンローとジョー・ディマジオを案内する犬丸徹三氏】
どんな仕事でも心を込め、
立派に仕上げれば、
人間が磨かれ、
信用もついてくる。
一流と言われる会社にいる人が、
一流なのではない。
『一流の人間』が働いている会社こそ、
どこであれ、何であれ、
一流なのである。
会社だけではない。
学校も同様だ。
新しい挑戦が始まって半月が経過した。
慣れないことで緊張の連続かもしれない。
だが“ここでがんばる”と決め、
誠実にやり抜くことだ。
その人が、いつかそこを輝かせる一流の人になる。
さて、話題は変わって最近読んだ本の紹介。
![[又吉直樹]の劇場(新潮文庫)](https://m.media-amazon.com/images/I/516jLQmrbuL.jpg)
芸能人の書いた本ということで
最初は少し構えて読み始めた。
読み進めるとどんどん世界に引き込まれていく。
ついには止められなくなって一気読みしてしまった。
何物にもなれる、なんだってできる、
青春時代の終わりはその感覚との葛藤だ。
悩み、もがき、苦しみ、答えは自分で出すしかない。
主人公のあまりの不器用さに不覚にも涙が出てしまう。
以前読んだ同じ作者の作品の「火花」よりもこっちのほうがよかったと思う。


