9.11
今年も思いだした。
9.11。
教え子が高校に進学し、県の1年間の留学プログラムに応募したいと相談があった。
中学時代から英語は得意教科だったが、ずばぬけてできたわけでもない。英検で言えば3級くらい。
彼女の決意は固く、英文の推薦状を書いてほしいということだった。
よろこんで推薦状を書かせてもらい、選ばれるためにいくつかアドバイスをした。
後日、見事選ばれたと報告に来てくれた。
行先はニューヨーク。
出発前にあいさつにきてくれた。
がんばってこいよって見送った。
アメリカでは9月が新年度なので、日本は2学期が始まってすぐのことだった。
そして、その日がやってきた。9.11が。
日本中その話題で持ちきりだった。
テレビをつけるとどこも同じ映像。
映画じゃないかって思える衝撃的な映像。
唖然。
ふとあの子の顔が浮かんだ。
まさかね。
でも・・・・・
まさかね。
ニュースや新聞を見るときには彼女の無事を祈った。
大丈夫、大丈夫のはず・・・・・
あの大惨事、不謹慎だが、私は一人の教え子のことだけを案じていた。
その子の家に電話をかける。
念のため。
「ご心配をおかけしました。無事って連絡がありました。」って。
ほっと胸をなでおろした。
1年後、無事に帰国した彼女はお土産をもって報告に来てくれた。
「たいていの映画なら字幕なしで聴けるようになった」とか「普通に会話を楽しめる」とか驚くような成長を遂げて帰国した。
社交的な子だった。日本人とは群れずに、いろんな場所に積極的に飛び込んでいったとのこと。
その子は、念願の客室乗務員として世界の空を飛び回っている。
お土産のI♡NYのTシャツ、
なぜだか特大サイズ。大きすぎて着れないけれど、今でも大事に飾ってある。