本当の宝
18世紀、琉球王国の黄金時代を築いた蔡温。
「琉球の五偉人」の一人と言われ、
首里王府の行政の最高責任者である三司官に就き、
多くの功績を残した。
哲人指導者であった蔡温は、
「剣は小宝なり」
「大宝はただ汝の身なり」
との一文を、
次のエピソードを通して残している。
「私は、先祖代々に伝わる大切な剣を、
一日も怠らず磨いております」と語る少年に、
おじいさんは尋ねた。
「その剣以外に、おまえは何か宝を持っているか」
少年は「何も持っておりません」と。
おじいさんは言った。
「その剣など小さな宝にすぎない。
君は最高の宝を持っている。
それは君自身だ」
“君自身の生命の宝を、なぜ磨かないのか”
この問いかけに、少年は深く感じ入って感謝したという。
自分自身というこの上ない宝を
この夏、磨きぬいていこう。