表情と振舞いの言語学
保護者面談で、NHKのラジオ講座の話題になった。
昔はスマホやPCなどはなかったから、
ラジカセで聴いていた。
カセットテープの録音はできるけれども、
基本はラジオで聴く。
だから、毎日決まった放送時間でなければ聞くことができないのだ。
不便なのか。
いや、そうではなかった。
きちんとした生活リズムができるから
役に立ったのだ。
今の復習用のアプリはものすごく役立つけれど
昔は昔で工夫して復習をしていた。
10年後の日本人の英語に対する考え方は
このような学び方の変化にともない
今とは大きく変わっていることを願う。
どこでも日本語で用が足りるわが国は、
実は世界でまれな国だ。
世界の大半の国は多民族多言語で構成されるからだ。
歴史学者の加藤祐三氏が紹介している話が興味深い。
インドに旅した時、
かつて軍人だった人に、いくつ言葉ができるか尋ねたら、
ヒンディー語、ウルドゥー語などに英語を加えて六つと。
それだけないと各地からやってくる兵士たちに軍隊の命令はできても、
親身な触れ合いは、できないからだそうだ。
氏は言う。
多民族多言語の社会では
「人間の言葉に対する信用度、信頼度は、相対的に低くなっている。
それに代って出てくるものは、表情と振る舞いです」と。
そして、この「表情と振る舞いの言語学」の能力に、日本人は欠けると指摘する。
道具としての言語。
英語も所詮は言語に過ぎない。
それだけ磨いていても親身なふれあいには程遠い。
他言語でのコミュニケーションのときこそ
「表情と振舞い」に気をつけたい。
もちろん日本語のときも。
明るく誠実な行動だ。
心が通じれば、対話の扉は開くのだから。