一銭五厘
今の若者たちは『一銭五厘』という言葉の意味するものを知らないと思う。
戦時下、動員のために、軍隊への出頭を命じた召集令状『赤紙』。
その郵便料金が一銭五厘だったという。
兵士は、心ない上官から「お前たちは一銭五厘の使い捨て」と侮辱された。
兵隊の命は、わずかな金で集められるほど価値が低いのだ、と。
劇団四季の創設者の一人、浅利慶太氏は、
民衆を軽んじる、このような発想を痛烈に批判し、
その思いを“昭和の歴史三部作”等の作品にぶつけた。
ふと思う。
今、戦場の兵士たちはどのように招集されているのだろうと。
はがきかな、それともメールかな。
追体験(ついたいけん)という言葉がある。
辞書で意味を調べてみると
「 他人の体験を、作品などを通して自分の体験として生き生きと、とらえること」とある。
本や映像や上演などが追体験をする代表的な手段だろう。
2022年は、1945年の終戦から77年。
戦争体験者は高齢となり、
子どもたちはもちろん親御さんも実際の戦争を知らない世代。
次の世代に戦争の恐ろしさと平和の大切さを伝えようと、
いままでにたくさんの作家たちが作品を書き上げている。
図書館に行けばそんな作品に巡り合うことができる。
もうすぐ春休みがやってくる。
戦争のニュースは他人事ではないと思う。
だからこそ春休みに戦争を追体験してみてはどうだろうか。
学んだり、進学したり、
それらの大前提は
戦争のない平和な世の中なのだから。