ありがとう
あと1ヵ月で卒業シーズンがやってくる。
この季節には「ありがとう」をよく耳にする。
ある小学校の卒業式で、PTA会長が「多くの人に感謝を伝えよう」と、
児童に次のような言葉を贈った。
まずは「ありがとう」の
「あ」で、あの人、この人と思い浮かべる。
「り」は隣人、地域の人に感謝。
「が」は学校の先生、職員に。
「と」は友だちに。
「う」は内の人(両親や祖父母、保護者、兄弟)に……。
そして、最初に戻って「あ」。
あなたたち自身に、よく頑張ったと自ら礼を言い、褒めてあげよう――と
「ありがとう」のベトナム語は「カムオン」。
漢字では「感恩」と書く。
恩を感じるから、感謝の思いが湧き上がる。
東洋に息づく報恩の思想であろう。
忘恩と報恩。
濁点のあるなしの違いで、
人の生き方は正反対になる。
「恩」という字は、
原因の「因」を下から「心」で支えている。
今の自分があるのは、
さまざまな人の励ましが因となっていることを、
常に心の奥底で感じ、
感謝を忘れてはなるまい。