頼る心
「カーナビをつけるようになって、なかなか道を覚えられなくなった」
友人が、しみじみと語った言葉に共感を覚えた。
携帯電話に記憶させているからだろう。
自宅の電話番号や保護者の携帯番号が分からない生徒もいるくらいだ。
科学技術の進歩によって、確かに私たちの生活は便利になった。
半面、機械をあてにすることで、“よくかける電話番号などを記憶しておく”など、
これまで当たり前にできていたことができなくなった、
と感じる場面が多くなっている。
人間は、誰しも計り知れない大きな可能性を持っている。
その可能性をさえぎるものの一つが、
自分以外の何かを“頼る心”だ。
綱引きにおいて、
綱を引く人数が増えれば増えるほど、
一人が出す力が減っていくという実験結果がある。
これはリンゲルマン効果とよばれているのだが、
人に頼る心”がある限り、
自分のもっている大きな力を出し切ることはできないということだ。
自分自身を錬磨する機会があふれている。
小中学生は「苦労は買ってでもする」の心意気が大切だ。
その苦労や挑戦の先に、思ってもみなかった“可能性の花”が、大きく開く未来が待っている。