ことばのチカラ
ある家族が川へキャンプに行った。
こどもが川辺で遊んでいるうちに、
川に入って足をとられ流されはじめた。
そんな経験はないからこどもはあわててしまって、
じたばたと暴れているのだが、どうにもならない。
父親が助けにいくが混乱している息子に
手を貸すのがなかなか難しい。
そんなとき、父は息子が水泳教室に通っていて、
プールで泳いでいたということを思い出した。
いま溺れている息子は、ほんとうは泳げるのだ。
父は、息子に向かって叫んだ「おまえは泳げるんだ!」
その声を聞いた息子は、はっと気づいて泳ぎだして、
岸に近づき父の手につかまって助かった。
「ぼくは泳げるんだ」と気づかなくて溺れている、
そんなことはたくさんあるだろう。
だれかが「おまえは泳げる」と声をかけてくれるだけで、
沈むことばかり恐れていた身体が浮かび出して、
水をかいた分だけ前にも進みはじめる。
「おまえは泳げる」の声にぐずぐずと疑いを持っていたら、
それを信じられないままに沈んでしまうかもしれない。
「見ていてくれる人がいること」、
「人を信じるこころが、じぶんにあること」。
この2つのことが、人をよく泳がせてくれるのだと思う。
じぶんのことは、ある意味、じぶんがいちばんわからない。
「泳げるんだっけ?」ぐらいまで疑っちゃうことさえある。
そうだ、今日はクリスマスイブだった。
今日も読んでくれてありがとうございます。
メリークリスマス、
泳げるよ、私も、あなたもね!