当たりとハズレ
たとえば、テレビを買おうというときに
さっと見て、ささっと決めて買うというやり方がある。
「そんなに簡単に決めちゃったら、
もっといいのを買えたかもしれないチャンスを、
むざむざ無にすることになっちゃうじゃないか」
そういう気持ちがあるので、調べたり
何軒か見て回ったりする人もいる。
ありとあらゆる面から考えて、さらに、
どこで買ったらいちばん安くつくかを調べて、買う。
あんまり研究もしたくないけれど、
「損したなぁ」と思いたくないという場合は、
いちばん実際に売れているものを訊ねる。
「たくさんの人が買ったということは、それはつまり、
大きな欠点もなくて
満足が得られたということだろう」
そう考えて、それを買う。
「とても大きな得をしたいというわけではなく、
なんだかちょっとでも損をしたくない」
と、これが世の中の風潮なんじゃないだろうか。
じぶんのなかに、そういう気分がないかと言えば、
ないわけじゃないような気もするけれど。
家電や飲食店もそうなのだが
学校の評価サイトも存在していて
実際に受験生たちは活用していたりする。
家電にしても、外食にしても、進路にしても
いちばん評判のいいものを手に入れなくても、
そんなに大損するようなことはないとおもう。
「選んだ後で、もっといいのがあったんじゃないか」とか
後悔することを怖がっていたら、
学校や会社に入ることも、結婚することも、
生まれてくることさえもできなくなる。
ほんとに大事なことは、そんなにたくさんはないわけで。
当たりはうれしいけれど、ハズレはハズレでおもしろい。
工夫すれば、ハズレだって
十分に満足できるようになるから。
そうでなければ、
人間のハズレみたいな私たち全員、
生きてる間、ずっと後悔してなきゃならない。
当りばかりだったら、ハズレのほうがほしくなるかも。
なにもかもうまくいくなんてことは、絶対にない。
うまくいっていることが
ずっとずっと続いていくことはない。
うまくいかないことだって
その後の工夫次第でどうにかなることはいっぱいある。