勘違い

埼玉県の高校入試の話なのだが、

 

確約」という言葉を耳にすることがある。

 

その言葉の意味は「約束を必ず果たすと約束すること。」

 

 

埼玉県では1952年から業者テストが行われていた。

 

そして、中学校の先生が、その偏差値を私立高校に提示して

 

入試前に合格確約等を得ていた。

 

しかし、今からおよそ30年前の1992年10月、

 

埼玉県教育委員会は、「偏差値追放」を発表し、

 

即日実施に移した。

 

全国に先駆けての実施であったが、

 

後に続く都道府県もなく、

 

偏差値による進路指導の悪影響を排除するという

 

理念先行の埼玉県独自の改革に終わってしまって今に至る。

 

 

 

偏差値テストは中学校から近隣の会場へ実施場所を変え、

 

会場テストとなった。

 

中学校の先生がやっていた事前相談も

 

個人が家庭の責任で私立高校に出向いていく個別相談へと変化した。

 

偏差値を追放して、事前相談を廃止したのだから

 

入試前の合格確約はなくなるべくしてなくなったのだ。

 

 

 

 

今までと大きく異なる入試になってしまう・・・・・

 

どうなるのだろう・・・・・

 

当時の受験生や保護者の気持ちになって考えてみると、

 

ものすごく不安だったに違いない。

 

だから、「確約」は死語となってしまったが、

 

個別相談会では学校の説明や激励に加え

 

受験をするかしないかの判断のために

 

合格の可能性くらいは示してあげることになったのだ。

 

「安心して受験してください」というような表現を使う学校が多いのだが、

 

実は上記のような経緯があっての表現なのだ。

 

 

 

 

さて、個別相談では直接受験生本人が

 

私立高校の先生から合格の可能性を聞くことになる。

 

ことばは人によって違えども

 

「安心して受験してください」というような

 

ニュアンスのことを言われた受験生の中には

 

勘違いする人も出てくる。

 

「確約」がもらえたから不合格になる事はないと。

 

偏差値追放の1992年までであったら

 

もしかしたらそうだったのかもしれない。

 

入試当日は、名前を書けば答案が白紙でも合格できるとか

 

入試前に合格通知の準備をしているとか

 

真偽のほどは分からないが

 

そのようなことが言われていたほどだったのだ。

 

しかし、現在は違う。

 

私立高校の入試を詳細に分析すると分かる。

 

単願者の中にも不合格者がいるのだ。

 

その高校の説明会で入試担当の先生に

 

質問してみると

 

個別相談で大丈夫のニュアンスの返答だった受験生でも

 

不合格になっている理由を教えてくれた。

 

当日の行動や態度や点数が、高校の期待するものと

 

かけ離れていたとのことだった。

 

当たり前だけれども

 

10月や11月の成績を見せたくらいで

 

合格したつもりになって

 

気を抜いているような受験生は

 

高校の学習についていくことすらムリだ。

 

なぜならば

 

ここからが一番の成長期にもかかわらず

 

その成長のチャンスを逃すどころか

 

退化してしまうからだ。

 

やった子とやらなかった子の差は

 

桜の咲くころには歴然としているのだ。

 

そのことに入学後に気付いても時すでに遅しなのだ。

 

それどころか

 

気を抜いてしまった受験生が

 

入試当日の悪いパフォーマンスによって

 

不合格になったときには

 

目も当てられない。

 

その時点からどこに出願するのだろうか。

 

いや、合格できる学校があるのだろうか。

 

 

 

 

大切なのは

 

入試が終わるまで気を抜かないこと。

 

入試が終わっても手を抜かないこと。

 

だって入学してからが本当のスタートなのだから。

 

手を抜いていると退化するしかないのだから。

 

でも、勘違いする人は毎年少なからずいる。

 

後悔先に立たずだけど。

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