大切なもの
「夜の闇のなかに星が見えるように、
苦悩のなかにこそ人生の意味が見えるものである」。
文豪トルストイが書きとどめた、詩人ソローの言葉。
「私たちが生きるうえで大切なことは何か」
それは誰かに教えてもらうものではない。
自分で感じるものなのだ。
「大切なものは目には見えない」とは、
サン=テグジュペリの『星の王子さま』の一節。
彼がこの言葉を記す十数年前、童謡詩人の金子みすゞはうたった。
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ
トルストイはロシア、
ソローはアメリカ、サン=テグジュペリはフランス、
金子みすゞは日本。
民族や言葉を超え、
「見えないもの」「大切なもの」を見ようとするまなざしは共通する。
答えのある問題ばかり解いていると
どんなことにも正解があると錯覚してしまう。
困ったときには、親切な先生や親が出てきて
ヒントを出してくれたり、丁寧に教えてくれたりするのを期待するかもしれない。
少し考えてみて、答えが出なかったら模範解答をみようとするかもしれない。
模範解答が周囲になければ、インターネットを検索するかもしれない。
でも、本当に大切なことはそこにはない。
自分自身が悩み、苦しみ、考え抜いて
はじめて見えてくる。
時にはスマホなしで
「見えないもの」「大切なもの」
をじっくりと考える時間を過ごしてみてはいかがだろうか。