竜門の滝

小学6年生の生徒と話をしていた時のこと。

 

卒業しないで小学生のままでいたいと言っていた。

 

よほど今の環境が気に入っているのだろう。

 

それとも人見知りだから新しい環境に不安があるのかもしれない。

 

でも、大丈夫。

 

今いる場所で一生懸命になれるキミならば、

 

3年後きっとこういっている。

 

卒業しないでずっと中学生のままでいたいと。

 

 

 

唐の詩人・白居易に「点額魚」という詩がある。

 

登り切れば 竜になれるという、

 

「竜門の滝」の故事にちなんで 詠んだもの。

 

「点額」とは“額に傷を受けること”を指し、点額魚は、

 

滝を登り切れず、岩に打ち付けられて

 

額に傷を負った魚のこと。

 

その魚の気持ちはどんなものだろうと

 

白居易は自問した。

 

「聞けば、竜になれば、天に昇って

 

雨を降らせる苦しみがあるそうだ。

 

そんな苦しみをするよりは、

 

永く魚となって自由に泳ぎまわっているほうが、

 

あるいはかえって、ましかもしれない」

 

大きな壁に挑み、背負わなくてもよい

 

苦しみを背負うより、

 

今いる場所で

 

自由に生きているほうが幸せなのではないか――

 

人生の岐路にさしかかった時、

 

誰の胸にも湧いてくる微妙な心を、

 

詩人は表現したのだろう。

 

 

雨を降らす労苦は

 

地上の人々からみると

 

恵みの雨ともいえる。

 

竜にとっての労苦に救われる人もいるのだ。

 

自分が楽や得することだけを考えるのではなく、

 

皆が他人のことも思えるようになると

 

世の中はもっといい場所になる。

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