開拓者魂
青森県の十和田湖は火山がつくったカルデラ湖だ。
かつて魚のすまない湖といわれていた。
ここでヒメマスの養殖に挑戦した先人がいる。
和井内貞行氏。
今から115年前の出来事だ。
度重なる失敗で私財は底をつき、非難中傷も浴びた。
だが、道を貫き、20余年もの苦闘の末に養殖を成功させた。
十和田湖には偉大な開拓の歴史が刻まれている。
常に皆の先頭に立ち、率先して道を開く。
皆に代わって、襲いかかる嵐を一身に受けて立つ、これが開拓者である。
この不撓不屈の開拓者魂をたぎらせ、先人たちは道を切り拓いてきた。
世のため人のため、新たな歴史を開くために自らの人生をかけているのだから、
開拓の過程において、昨今の「働き方」や「ブラック企業」などの発想は微塵もなかったであろう。
現状維持は衰退以外の何にもつながらない。
最近では、老若男女問わず「失敗したくない」が行動の基準になっていることが多いのだが、
和井内氏のように粘り強く挑戦し続けることも大切だ。
晩年、見事この難事業を成功させた和井内には「緑綬褒章」が与えられた。
緑綬褒章とは、「長年にわたり社会に奉仕する活動(ボランティア活動)に従事し、
顕著な実績を挙げた方」に与えられる。
和井内の人生とまさに合致する。
似たようなものに、
科学を始めとした学問やスポーツ・芸術分野の方に与えられる「紫綬褒章」がある。
こちらはよくニュースになるので、ご存じの方も多いだろう。
本物の挑戦者に、「ゆとり」という言葉は無縁のものだ。
どんなにへとへとになるまで取り組んでも、
一晩ぐっすりと眠ればすっかり回復できるし、
気持ちが充実してくるから、
もっともっとと心が欲してくるのだ。
これは学習においても同様だ。
開拓者魂をもって、挑戦の夏を乗り越えていこう。