人は感情で動く
団結の重要性は、
どれほど強調しても強調し過ぎることはない。
一本の矢では簡単に折れるが、三本まとまると容易に折れない
という話は有名ですね。
しかし、思いの合わぬ人間がいかに集まっても、
結局、「烏合(うごう)の衆(しゅう)」です。
軍記物として有名な「平家物語」にこんな逸話が登場します。
破竹の勢いで平家を追討した源義経に関するエピソードです。
屋島の戦いに船出する淀川河口で、
軍議に臨んだ義経。
部下から、平家方の攻撃に備えて、
船を後退しやすくするよう進言されたが、
それを「逃げ支度」と罵倒(ばとう)します。
その時に生じた感情の“しこり”は解けるどころか、
その後、事有るたびに増幅(ぞうふく)しました。
結果、機転・行動力にたけた義経も、
平家滅亡の後、非業(ひごう)の最期を迎えることになるのです。
相手への深い信頼を欠いた言動は、
感情的な反発を生み、
団結が破れる因となります。
逆に、相手へのこまやかな配慮は、
団結の“核”として、
皆の心を結びます。
人は感情で動きます。
自分のことだけを考えていると
相手の感情のことは
分かりませんね。
相手をどうやって
気持ちよく動かしていくのかを
考えてみると
結局は自分が得をすることになります。
実は成績を向上させる指導法も
ここを考え抜くと
いい方法ができますよね。
さて、本の紹介です。
今いる世界がすべてではない。
そんなことはわかっているけれど、
自分ではどうすることもできない。
一人の力ではどこかに行くこともできない。
こどもにしか分からない気持ちです。
学校が再開すると、
学校の人間関係を思い起こして、
息苦しさを感じる人もいるかもしれない。
今悩みを抱えている子どもも、
昔こどもだった時に悩んだ大人も、
教室という小さな世界をリアルに感じることができます。
自分にとって今という時がかつて世界のすべてだったことを思い出しました。
先生も親も何も分かっていない。
こどもだけの独特の感覚。
大人だって昔そう感じていた子どもだったんだよ。……と大人になった私は思う。
本作は2020年度の中学入試では開成、海城、早実などで出題されました。
作問者にも大人気ですね。
おススメです。