教え子
名作と呼ばれる映画のタイトルを並べては、
「あ、あれ俺の作品」
「あの作品も俺」と、
誇らしげに言う人がいた。
声の主は、舞台セットで使う木を用意した植木職人だった。
それを聞いた脚本家の山田太一さんは感動し、
「自分の作品も
いつかこの植木屋さんの自慢の一つになりたい」と願った。
原作者や脚本家だけでなく、
役者やスタッフ、
さらに裏方の人までが、
“あれは私が作った”と誇りにする作品は、
名作に違いない。
塾の先生だって、
自分が情熱を注ぎ、
鍛え上げてきた生徒たちのことを
「あの子は私の教え子です。」
胸を張ってそう言いたい。
キミの人生に幸あれと。
人生の踏ん張りどころで
キミと共有できたこの時間を
思いだしてもらえるのならば
講師冥利に尽きるってものだ。